業界初の超音波レンズ・クリーニング(ULC)チップセット採用で、カメラとセンサの自動クリーニングを実現
車載および産業用アプリケーションにおける高信頼性、小型、低コストのクリーニング・システムの設計が可能に

テキサス・インスツルメンツ(TI)は、超音波レンズ・クリーニング(ULC)技術を搭載した初の専用半導体を発表しました。本製品の採用により、カメラ・システムはほこり、氷や霜、水などの付着を迅速かつ自動的に検出し、微細な振動でそれらを除去することが可能になります。

カメラのレンズから残留物を除去するためには、従来は手作業によるクリーニングを必要としましたが、その場合システムが一時的に使用不可となるか、さまざまな機械部品の不具合が生じる可能性がありました。TI の新しい ULC チップセットを構成するのは、デジタル信号プロセッサ(DSP)『ULC1001』と、コンパニオン・チップであるピエゾ・トランスデューサ・ドライバ『DRV2901』です。このチップセットは高精度に制御された振動により付着物を迅速に除去する独自技術を採用しているため、カメラが残留物を自力で除去することが可能になります。その結果、システムの精度を向上させ、メンテナンスの要件を低減します。このチップセットは、さまざまなアプリケーションとカメラ・サイズで ULC を活用するための、コンパクトで低コストな方法をご提供します。詳細については、www.ti.com/ulc1001-prと www.ti.com/drv2901-pr をご覧ください。

TI で製品マーケティング・エンジニアを務める Avi Yashar は次のように語ります。「ULC の登場により、自動クリーニング方式のカメラとセンサを幅広く活用する将来が現実的になります。クリーニングに関する既存のアプローチは高額で実用性が低く、複雑な機械やコストの高い電子部品を必要とし、残留物の検出とクリーニングを実施するために膨大なプロセスを要していました。自動車や交通監視カメラから、スマート・シティやスマート・マニュファクチャリングまで、さまざまなアプリケーションでカメラの採用例が増加しているなかで、自動クリーニング・カメラを実現するためのシンプルかつコスト効率に優れた方法への需要が高まっています」

『ULC1001』コントローラは、画像処理をまったく行わずに、センシングとクリーニング、また温度と故障の検出を自動的に実行するための独自アルゴリズムを搭載しています。そのため、ULC 技術はさまざまなカメラ・レンズの設計に対して高い適応性を持っています。このチップセットは小型フォーム・ファクタを採用しているため、汚れる可能性のある場所に設置されたカメラやセンサを含め、多様なアプリケーションでマシン・ビジョンとセンシングを改善することができます。動作方法の詳細については、技術記事『超音波レンズ・クリーニング(ULC):必要性が認識されていなかった半導体技術』をご覧ください。

TechInsights 社でグローバル・オートモーティブ・プラクティスを担当するシニア・アナリストの Edward Sanchez 氏は次のように語ります。「先進運転支援システム(ADAS)がより洗練され、ドライバーの依存が高まるにつれ、一連のセンサが常に正常に動作することがこれまで以上に重要になります。カメラのレンズにほこりや異物が付着している場合、リアビュー・カメラにとってはただの障害物ですが、高精度かつ精密な画像処理とセンサ・データに依存している自動車にとっては、機能と安全性にかかわる非常に重要な問題になります。ADAS や自動運転車の市場にとっての、こうした大きな将来的課題も、TI の ULC アプローチを採用することで、実用的かつコスト効率に優れた方法で解決できます」

 

統合型ソリューションによりシステム・サイズと複雑さを低減

TI の ULC チップセットの採用により、レンズ・クリーニング・システムにおいて複雑な機械部品や人による操作が不要になります。独自アルゴリズムを搭載した 『ULC1001』超音波クリーニング DSP は、1 個のパルス幅変調器(PWM)、電流と電圧を検出する複数のアンプ、1 個の A/D コンバータを内蔵しています。TI のチップセットは、この DSP を、ピエゾ・トランスデューサ・ドライバ『DRV2901』と組み合わせ、後者をコンパニオン・アンプとして活用します。このチップセットを採用すると、25mm x 15mm 未満というプリント基板サイズに収まるコンパクトなフットプリントで ULC を実現し、部品点数を低減するとともに、ディスクリート実装より多くの機能を実現できます。

 

パッケージ、供給と価格について

4.5mm x 5mm の 32 ピン HotRod™ QFN(クワッド・フラット、リードなし)パッケージに封止した『ULC1001』DSP は現在量産中です。TI.com または正規販売特約店から購入可能で、1,000 個ご注文時の単価は 6.43 米ドルからです。ピエゾ・トランスデューサ・ドライバ『DRV2901』の 1,000 個ご注文時の単価は 5.35 米ドルです。全量リールは、TI ウェブサイトとその他の販売チャネルより供給中です。『ULC1001-DRV290XEVM』評価基板は TI.com から 249 米ドルで購入できます。TI ウェブサイトでは、お支払いと配送方法について各種オプションをご用意しています。

 

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。