Q&A:TIがより強力なコミュニティを築き上げるために促進するグローバルカルチャー
TI の寄付とボランティアチームリーダー兼 TI Foundation のエグゼクティブ ディレクターであるAndy Smithが、TI の文化に慈善精神がどのように根付いているか、TI の従業員が生活し働く地域社会をどのように強化しているか、そして、彼自身にとってコミュニティへの貢献が何を意味するかについて語ります

Andyにとって、コミュニティへの貢献は個人的にも仕事上でも優先すべきことです。

Andy は TI の寄付とボランティア活動チームのリーダーとして、TI や TI Foundationからの寄付、またコミュニティに焦点を合わせたボランティア活動、従業員の寄付プログラムを実施しています。Andy と夫のポールは、コミュニティの重要なニーズに取り組む非営利団体とともに頻繁にボランティア活動を行っています。Andy のように、世界各地で数千人もの TI 従業員や退職者が、仕事の内外を問わず、自分が深く関心を寄せる活動に時間、才能、リソースを捧げています。

TI に25 年以上勤務するAndy は、TI が長年取り組んできたより強力なコミュニティを築き上げ、近隣住民の生活をどのように向上し、また彼自身がコミュニティへ貢献しているインスピレーションについて語りました。

 

質問:より強力なコミュニティを築き上げる活動を支援するために、TI はこれまでに、数百万ドルと膨大な時間を投資してきました。このような還元の文化を推進してきた原動力は何でしょうか?

Andy Smith:コミュニティへの貢献に取り組む TI の精神は、テキサス州北部で長年にわたって慈善事業やボランティア活動に携わってきた、創業者たちとその家族までさかのぼります。たとえば、テキサス大学ダラス校は、テキサス州北部の学生により良い教育機会を提供することで、地元の人材を育てたいと考えた創業者の3人によって設立されました。毎年、テキサス州北部に住む数百万の人々のために奉仕活動をしているダラス都市部のUnited Way (United Way of Metropolitan Dallas) も、TI の創業者である J. Erik Jonsson が創設した団体です。また、彼はダラス市長に就任し、同市の素晴らしい公共図書館のシステム構築に大きく貢献しました。長年にわたり、TI のリーダーたちは、このコミュニティへの貢献の精神を受け継ぎ、世界各地の TIの 従業員(TIers)にもこの精神は浸透してきました。強い企業は強いコミュニティを築き、強いコミュニティは強い企業を築くという信念は、90年前の創業当時から変わらず、TI の現在の企業文化に深く根付いています。

TI の目標の 1 つは、社員であることを誇りに思える会社、地域の隣人として望ましい会社であることです。寄付とボランティア活動は確実にその役割を担っています。2010 年以降、TI の従業員や退職者は、190 万時間のボランティア活動にたずさわり、1 億 1,400 万ドルを寄付してきました。これらの活動が、世界各地のTIの従業員にとっていかに重要であるかがわかります。

 

また、退職者も従業員と同様にコミュニティで活躍している、という事実にも触れたいと思います。その多くは、非営利団体の役員を務めることや、その運営にたずさわるなど、自らが TI で磨いてきたスキルをさまざまな方法で活用しています。彼らは、TI でのキャリアの終わりは、会社で身に着けてきたノウハウと規範を公共の福祉のために活用する新しい機会の始まりにすぎないと考えています。

 

質問:あなたのチームは、寄付とボランティア活動に関する TI のプログラムをリードしています。あなたのチームの最優先事項は何ですか?

Andy Smith:私たちの使命は明確です。私たちが生活し、働くコミュニティを向上させるために投資し、世界各地にいる TIの従業員が寄付とボランティア活動のプログラムを通じてそれに参加することです。私たちのコミュニティにとって最も重要なニーズに応えるために、いくつかの分野に投資しています。その中でも、教育は常に、TI と TI Foundationの両方にとって慈善活動の最優先事項となってきました。TI が本社を置くテキサス州北部で、TI が最も力を入れて取り組んでいる貢献とボランティア活動は、STEM (science, technology, engineering, mathematics:科学、技術、工学、数学) 教育です。特に、経済的な支援を必要とする生徒が STEM の基礎に参加できるように奨励するプログラムです。

生徒がどのようなキャリアを選ぶかに関わらず、STEM のスキルは活躍に役立つスキルである、と私たちは信じています。また、生徒が学業で成功を遂げるうえで、教師は非常に大きな影響を及ぼすことも私たちは確信しており、そのため、寄付に関する私たちの決定もそれを反映しています。特に TI Foundationの助成金では、すべての生徒が望ましい成果を得られるようにするため、教員や校長からの支援やトレーニングを受けられるような投資を重視しています。その結果、生徒は安全な環境で学び、成長し、成功するための正しいスキルと基礎を習得する機会を得ることができます。

活動の一例として、ダラス郡南部にある 3 つの公立学区に対し、10 年以上にわたって 2,200 万ドルの支援を続けてきたことなどが挙げられます。この地域では 3分の1の居住者が貧困問題に直面しており、STEM 教育のニーズが高いにもかかわらず、その機会は少ないのです。私たちの投資は、2012 年にテキサス州のK-12 STEM地区であるランカスター独立学区 (Lancaster Independent School District)をはじめこれらの地区を STEM 地区 (STEM 教育推進地区) へと変貌させています。私たちは、ダラス郡南部の学生たちがいつか明日のイノベーターになれるよう支援できることを誇らしく思います。

 

米国以外で TI が教育に取り組んできた例も多数存在します。たとえば、インドにいる TI の従業員は、生徒が奨学金を受けて中学校に進学するのを支援し、子供たちが教育を継続することの重要性を親に教えています。TI はまた、バンガロールとその周辺にある 130 の学校の生徒たちに「Back-to-school(学校に戻ろう)」というリソースを提供し、生徒に科学の概念を教える STEM センターを 2 箇所運営しています。中国では、先天的な心臓疾患を抱える子供を支援するために、TIersが毎年募金活動を実施しています。中国にある TI チームの寛大なボランティア活動を通じて、2018 年以来、必要とする子供たちに約 50の心臓手術を行い支援してきました。また、中国のTIは、貧困家庭出身の高校生400 人以上を経済的に支援し、質の高い教育の機会に参加できるようにしてきました。

インド・バンガロールの小学校でボランティア活動をするTI社員のAditya

 

質問:TI の年間の寄付とボランティア キャンペーンのうち、ユナイテッド ウェイ (United Way) は最大のキャンペーンです。TIやTIersが参加してインパクトを生み出している活動には、どのようなものがありますか?

Andy Smith:United Wayと TI のパートナーシップは非常に長い期間にわたって継続しています。米国では毎年、United Wayのキャンペーンを開催し、私たちのコミュニティの最大のニーズに取り組めるように、資金調達、給料からの源泉徴収による寄付、ボランティア活動に参加することを TI の従業員に奨励しています。TI の従業員が示す貢献の精神とその行動を目にすると、私は常に心を動かされます。2022 年だけでもTI の従業員と退職者、TI と TI FoundationがUnited Wayに寄付した金額は960 万ドルに達しました。すべての人が成長するための機会を作り出すプログラムに充てることができました。また、TIersは約1,700時間、United Wayのパートナー団体と協力してボランティア活動を行いました。

 

質問:TI の目標の 1 つは、社員であることを誇りに思える会社、地域の隣人として望ましい会社であることです。この目標を達成するために TI の従業員はどのような志と行動が求められているのでしょうか?

Andy Smith:2 年ごとに、TI の従業員は TI の創業者コミュニティ インパクト賞 (TI Founders Community Impact Award) に同僚を推薦する機会があります。この賞は、TIersが働く世界各地のコミュニティでの活躍、貢献を評価するものです。私は、最終候補者の審査員でないことを幸いに思っています。なぜなら、ノミネートされたすべての候補者が、より強力なコミュニティを構築するための努力に対して評価に値するからです。

2022 年の受賞者である Nathan は、米国ユタ州のソルトレイクシティで住居がなく飢えている人々に奉仕する活動が評価されました。インパクト賞の最終候補者の 1 人である Stephan は、ヨーロッパで、子供を含む難民の再定住と支援に取り組んでいます。マレーシアで、TIersのチームが、クアラルンプールとムラカ (マラッカ) にある TI の拠点周辺の地域で、低所得の居住者、貧困者、子供向けのボランティア活動に取り組んでいます。ほかにも、米国テキサス州ダラスでは、TI のエンジニアである Abhi が、虐待や育児放棄された子供の代弁者として行動し、安全、永続的、育成に適した家庭を見つけられるように支援しています。TI ではほかにも、従業員が主導するコミュニティ貢献のチームが 20 以上あります。

TI の従業員は、聡明で、才能があり、そして思いやりのある人たちです。TIersたちが自らのコミュニティにインパクトのある貢献をするために、自らの時間、才能、思いやりをどのように活用しているのか目にするたびに、私は常に心を動かされ、謙虚な気持ちになります。

 

質問:あなたは芸術に対して深い愛情を持っています。そのことが、子供の頃にどのような影響を与え、個人的にもプロフェッショナルとしても恩返しをしたいという情熱を育んだのでしょうか?

Andy Smith:私が今までもらったプレゼントの中で非常に印象深かったのは、16 歳の誕生日にもらったダラス ブロードウェイ (Dallas Broadway) で行われていた『キャメロット』というミュージカルのチケットです。米国テキサス州タイラーという小さな町で生まれ育った私は、ダラスへ行き、ブロードウェイ作品を初めてブロードウェイの作品を見ることができ、とても興奮しました。芸術に対する私の熱意をはぐくみ、そのチケットを与えてくれた自分の両親に深く感謝しています。

私は大学在学中から、何らかの形でコミュニティに参加してきました。私はこれまでに、arts gala (地元芸術家の展示場や交流会) を共同主催したり、米国テキサス州ダラスのホロコーストおよび人権博物館 (Dallas Holocaust and Human Rights Museum) で働いたり、LGBTQ+ の機会均等を推進するために、 Resource Centerで TI のPride Networkのメンバーとともにボランティア活動にたずさわったりした経験もあります。私たちのコミュニティを、より良く、強く、公平な場所にできるようにコミュニティに貢献することは、個人的にも仕事でも優先的に行なってきたことです。私は、教育、人種間の機会均等や人道的サービスに加え、芸術は、活気に満ちた、発展性がある、強いコミュニティを築き上げるための重要な構成要素であると信じています。そして、この会社とともに働けることを誇りに思います。

 

質問:自分のコミュニティでボランティア活動に取り組むことで、何を学び、何を習得することができるでしょうか?

Andy Smith:ボランティア活動は、非常に価値ある経験です。他の人の人生に有意義な変化をもたらすことに加え、ボランティア活動は友情を築き上げ、友人、同僚、コミュニティとの共通の目的を作り出すのに役立ちます。また、リーダーシップ、他人への影響、人前で話すこと、共通の目標に向かって取り組むことなど、職場で活用できるスキルが身につけることができるのもボランティアの利点です。もしあなたにスキルがあれば、そのスキルを必要としている団体を探してみてください。習得したいスキルがある場合は、何か新しいことに挑戦し、大きなグループの一員になれるボランティア活動や団体を探してみてください。