STEMにおけるジェンダー平等に向けた変革を推進
車載システム事業部のリーダーを務めるFern Yoonは、女性エンジニアと自動車の電動化の未来を切り開くことに情熱を注いでいます

2023 年 7 月 21 日

Fern Yoon は、友人のとある一言をきっかけに、大学でエンジニアリングを学ぶことを決意しました。

「私の友人はこう語りました。『あなたは工学部へ行くつもりなの?あなたは女性でしょ。あまり良い選択だとは思わないよ』」

「私は非常に負けず嫌いです」と、Fern は語ります。「私の答えは『結果を見ててね』でした」

15 年以上が経過した現在、Fern は、TI の車載システム エンジニアリング 兼マーケティング チームのリーダーを務め活躍しています。彼女は負けず嫌いという性格を原動力に、変化を促し、エンジニアリング 分野でジェンダーギャップを解消し、自動車の電動化の次を先取りできるよう、お客様を支援しています。

「私は常に、状況を良くする方法について自問し、答えを探し、自分自身に挑戦しています」と、彼女は語ります。「また、自分が楽しみ、継続的に学習して経験を積みたいと考えています。私がメンターを務めるほかの女性たちにも、そうするように勧めています。自分の熱意に向かって取り組むことを決して恐れないでください」

彼女の熱意

Fern の電気工学への熱意は、新しいイノベーションがどのように開発されるのか、その背後にある科学を学びたいという意欲から生まれました。TI に入社して自動車のバッテリ管理や電気自動車の航続距離延長に役立つ技術開発に携わる以前は、人間の免疫とがん予防の分野でエンジニアリングが果たす役割など、異なるシステムの問題解決に取り組んでいました。

電気電子工学科の学士過程で学んでいる間、Fern はテキサス大学ダラス校でユージン マクダーモット奨学生 (Eugene McDermott Scholars) プログラムに参加していました。このプログラムは、Margaret McDermott が、亡き夫、Eugene McDermott を記念する寄付によって創設されたものです。この男性は、テキサス・インスツルメンツとテキサス大学ダラス校両方の共同創設者でした。このプログラムは、最も優秀な人材をテキサス州のダラス / フォートワース地域に呼び込むことのできる優れた大学、という彼のビジョンを表しています。

この奨学生プログラムは、Fern が修士号取得の準備を進めるのに役立ちました。テキサス大学ダラス校にはクリーンルームがあります。これは、半導体を製造するために、外部から遮蔽され、制御された環境です。Fern は自身の修士論文で、このクリーンルームを活用し、半導体デバイスを使用してがんを早期発見できるかどうか判定するというプロジェクト取り組み、彼女の論文は、それが可能であることを証明しました。

そのため、女性エンジニア協会 (Society of Women Engineers) のカンファレンスで TI のウエハ製造プロセス エンジニアが Fern に TI の複数の職種を紹介した際、彼女はすでに半導体製造プロセスに関心がありました。

「私の経験の良い転換になった」と彼女は語ります。「半導体がどのように大規模に作られるかに興味がありました」

 

彼女は製造プロセス エンジニアとして TI に入社した後、アプリケーション エンジニアリングに転身しました。約 1 年間のローテーション プログラムに参加したことで、さまざまな役割に触れ、ビジネスを幅広く見渡せるようになり、自分の興味を追求するための時間や余裕が生まれました。彼女は TI の車載システム エンジニアリング 兼 マーケティング チームのリーダーとして、チームやプロセスを構築した後、製品ライン マネージャとして活動を始めました。ウエハ製造のさまざまなプロセスと課題を根本的に理解することで、彼女は車載分野の顧客向けにシステム レベル ソリューションを最適化する方法をよく理解できるようになりました。

「TI がバッテリ管理製品ラインアップの一環として開発に取り組んでいる技術を活用することで、電圧と電流に関するセンシング精度は 10 倍向上し、その結果、TI のお客様はバッテリ航続距離の 20% 延長、またバッテリのサイズの小型化、 EV をより手頃な価格で提供できるようになります」と、彼女は語ります。「TI は継続的に技術へ投資し、お客様はその技術を活用して自社製品の最適化と向上をさまざまな方法で実現することができます。これは本当にやりがいのあることです」

未来を形作る

Fern はビジネス リーダーという役割に加えて、多様性の擁護者でもあります。学生だった頃、エンジニアリング部での学生の男女比に驚いたといいます。彼女は現在、業務外の時間を使って、STEM (科学、技術、工学、数学) 分野でのジェンダーギャップを是正するための活動をしています。Fernは、より多くの女子生徒に STEM教育を続けてもらうために活動をするハイテク ハイヒール (High-Tech High Heels) という非営利団体の役員を務め、教室内の無意識の偏見についての意識を高める、教員向けのプログラムを支援しています。「教員は最初に男子生徒を指名し、質問に答えるように求める傾向があります。その傾向は、STEM 分野で男子生徒の方が優れているという見方を形成する可能性があります」と、彼女は語ります。

「男子生徒と女子生徒の学習方法が異なる可能性があります」と彼女は語ります。「この点に注目し、このことを伝えたとしたら、見方を変えられるかもしれません。複数の研究によると、女子学生や生徒が自信を持つことで、高等教育において STEM 分野を選択する傾向が高くなることが明らかになっています」

 

彼女はまた、 TI の女性エンジニア グループを主導し、テキサス大学ダラス校のゲイラーステイン ジェンダー センター (Galerstein Gender Center) と連携して、Engineering Week の一環である「女子生徒のエンジニアリング体験デー(Introduce a Girl to Engineering Day) 」に毎年参加し、学生にエンジニアリングを紹介しています。この活動はやりがいのあるものですが、STEM教育における障害やキャリアパスに対して疑問を抱いている女性にとっても非常に重要です。

「女性のリーダーを持つことは、他の女性が自分のキャリアで成長し続けるチャンスがあることを知るために重要です」と、彼女は語ります。「私は STEM とエンジニアリングが大好きです。ただ、幼いころは、STEM に携わる人たちはコードを入力し、コンピュータの前に座っているだけだという固定概念がありました。エンジニアにとって幅広い機会があることを私が初めて知ったのは、TI で働き始めてからです。エンジニアは、営業、コミュニケーション、設計の各分野で働いています。ほかにも多くの活動分野があります」

女性に対するメンターとしての役割

現在、Fern は TI 社内の女性従業員ネットワーク (Women’s Employee Network)のメンバーとして活動し、キャリアに関する同僚へのアドバイスや、リーダーシップに関するレッスンに携わっています。

彼女は、学生、新卒者、経験豊富なプロフェッショナルなど、さまざまな女性を支援し、STEM 分野で期待できるキャリア成長の機会をサポートしています。彼女はこれらの女性に対し、STEM 分野のキャリアで成功を収めてきた他の女性や男性と話し合うことを勧め、自分の熱意が示す方向を目指して働くことを恐れないように伝えています。

「自分が魅力や関心を持てることを何か見つけ、試してみてください」と、彼女は語ります。「好みに合わない場合、その結論が 1 つの成果です。何か別のことを試してください。何に関心がないか分かると、自分が好きなことを見つける絞り込みが簡単になります」