アナログはあらゆる場所に存在しています。エレクトロニクスの世界では、アナログ テクノロジーにより、電圧レベルの変換、センシング、高精度測定、シグナル コンディショニングを行うことでアプリケーションを現実世界で動作させることができます。アナログ チップは、超小型の補聴器から、データ センターの電源システムに至るまで、多様なエレクトロニクス システムにとって重要なコンポーネントです。

これらの重要なアナログ半導体は汎用 IC と呼ばれ、エレクトロニクス システムで使用されるチップの大部分を占めています。アンプ、データ コンバータ、ロジック デバイス、スイッチング レギュレータは、必ずしもボード上において最先端のコンポーネントではないかもしれませんが、システムが動作するうえで必要不可欠であり、今日私たちが体験しているエレクトロニクスの革新を可能にするのに役立っています。

調査機関の Omdia によると、汎用アナログ IC 市場は成長を続け、2027 年までに 400 億ドルを上回ると予想されています。

TI のアナログ半導体についてさらに詳しく

TI のアナログ シグナル チェーン事業部でシニア バイス プレジデントを務める Hagop Kozanian が、汎用アナログ市場の拡大を促進する要因と、これらの重要な製品に対する TI の継続的な投資について語りました。

質問：システム設計において、汎用アナログ製品はなぜ重要なのでしょうか

Hagop Kozanian：システム要件を満たすために、量産に対応した汎用アナログ製品の幅広いポートフォリオを用意することの重要性をよく耳にします。たとえば、自動車メーカーが 1 台の電気自動車に数百種類の汎用アナログ IC を必要とすることは珍しくありません。時には、これらの IC がエレクトロニクス システム内で 90% 近くを占めることもあります。

TI のエンジニア チームは、パワー マネージメント、シグナル チェーン、ロジック製品分野において、20 種類以上の機能カテゴリにわたり作業し、お客様の設計に必要なコスト、性能、電力、精度の適切な組み合わせに最適化されたアナログ製品を開発しています。このような製品に即座にアクセスすることで、お客様は既存の設計の市場出荷期間を大幅に短縮できます。また、フレキシビリティを向上させ、未来を見据えて設計オプションを拡張することもできます。

これらのアナログ製品がどの組み合わせでも正常に動作し、システム要件を満たすことをお客様が確認できることも重要です。

質問：汎用アナログ製品を選定する際に、エンジニアが最も重視することは何ですか？

Hagop Kozanian：汎用アナログ製品の設計目標は明確で、多様なシステムで信頼性と性能の各要件を汎用アナログ製品が満たすことです。しかし、お客様がこれらの製品を使用して設計する際、下記の 5 つの主な検討事項をよく目にします。

• 入手のしやすさ：設計者は、設計プロセス全体を通じて、部品の入手のしやすさと供給の確実性を最も重視しています。お客様がTI の汎用アナログ IC 製品ポートフォリオ全体にすぐにアクセスできる体制を整えることで、TI はサプライ チェーンという観点で信頼を得ることができます。TI は、入手可能な在庫を TI.com でリアルタイムに表示しているほか、注文管理の目的で即座にアクセスできるツール、またお客様の発注管理システムから TI のシステムに直接接続するための API を提供しています。
• 価格設定：エンジニアは、サイズ、コスト、性能が最適化されたアナログ製品を使用し、より手ごろなエレクトロニクスを設計することを望んでいます。TI の目標は、高信頼性の汎用アナログ製品を手ごろな価格で提供することであり、競争力を維持するために、価格設定を定期的にモニタしていますが、自社の 300mm 製造能力により、低コスト化構造の点で既に優位性を確保しています。
• アナログ製品の標準的なパッケージング：設計者は、幅広いパッケージ オプションを必要としています。その中には、スモールアウトライン リード端子なし (SON)、スモール アウトライン トランジスタ (SOT)、薄型縮小スモール アウトライン パッケージ (TSSOP) など、ピン互換性がある標準的な表面実装パッケージがあります。これらを活用することで、設計者はマルチソース (複数の供給元を確保) の設計実装方法を実現できます。TI が提供している幅広い製品ポートフォリオは、業界標準パッケージと、TI の HotRod™ パッケージなど革新的な種類のパッケージを取り揃えており、ソリューション サイズ、信頼性、放熱性の要件など、設計上の課題解決に役立ちます。
• 耐用期間と信頼性：設計者が最終的に望んでいることは、高品質で高信頼性の製品にアクセスできる体制を確立することです。TI は知的財産 (IP) と製造能力に対する投資を継続しており、45nm ～ 130nm でのプロセス ノードを使用して、設計の複雑さの低減や供給体制の確保に役立つ汎用アナログ製品を製造しています。実際に、TI はウエハ製造、パッケージング、組み立てとテスト、製品流通の各施設を世界各地で所有、運営し、今後数十年にわたって高信頼性のアナログ製品を提供できるサプライ チェーンを管理運用しています。
• 資料とリソース：アナログ製品設計は、適切なリソースを使用して、できるだけ簡単に行う必要があります。TI のアナログ エキスパートは、各種リソースの開発に継続的に取り組んでいます。そうすることで、お客様は先進的なシミュレーション モデルを活用し、 設計のプロトタイプ製作を迅速に進めることができます。TI の目標は、数千種類におよぶ技術資料を、入手可能な回路やリファレンス デザインと組み合わせ、市場出荷期間を短縮できるようにお客様をお手伝いすることです。

質問：汎用アナログ製品の将来において、TI はどのような役割を果たしますか？

Hagop Kozanian：過去 20 年以上にわたって、TI は幅広いアナログ製品ポートフォリオを拡大し、電源、シグナル チェーン、ロジック製品の各分野を含め、数千種類の汎用 IC を取り揃えてきました。TI のエキスパートおよび研究開発への投資により、TI は毎年数百種類もの新製品を発表しています。また TI の代替部品やセカンド ソース のアナログ製品を通じて迅速に拡張できる能力は、事故や災害で部品が長期間入手できなくなるなどのサプライ チェーンの分断を大幅に減らすのに役立っています。 アナログ テクノロジーは今後も長年にわたり、エンジニアが製品の革新や電動化を進めるうえで、必要不可欠です。